初めて収穫したねぎの香りに驚いた。自分で育てた野菜が食卓に並ぶうれしさ

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最初の春、ねぎが一番早く収穫できた

家庭菜園を始めて、最初の春が来た。秋から土を耕して、冬を越えて、やっと暖かくなってきたころのことだ。あんなに待ち遠しかった春が、ようやく来た感じだった。毎日畑に出るたびに「もう少し暖かくなれ」と思っていたのが、ちゃんと報われた気がした。

最初の春に植えたのはジャガイモ、玉ねぎ、ねぎだった。どれもちゃんと育ってくれるかドキドキしながら毎日のぞきに行っていたけど、ねぎが一番早く食べられるようになった。少しずつ伸びていくのを見ながら、「もう少し待てば収穫できるかな」と毎日楽しみにしていた。

ある日、「そろそろいいかな」と思って、ねぎを引っこ抜いてみた。土がまだついていて、緑の部分がみずみずしかった。台所に持っていって、妻に渡した。そのまま夕飯の味噌汁の薬味に使ってくれた。

スーパーのねぎとは香りが全然違った

夕飯のとき、お椀を前にしてねぎの香りが強くて驚いた。スーパーで買ったねぎとは、明らかに違う。こんなに香りがするものなのかと、正直びっくりした。取れたてのねぎを初めて食べた瞬間だった。

取れたてだから新鮮なのは当たり前のことかもしれないけど、実際に自分の鼻で感じると別物だった。「これ、同じねぎ?」と思わず言ってしまったくらいだ。妻も「においが強いね」と笑っていた。そんな何でもない食卓での会話が、今でも記憶に残っている。

それが、自分の育てた野菜を初めて実感した瞬間だった。秋から土を耕して、冬を越えて、やっと食卓に並んだ。ささいなことかもしれないけど、その一杯の味噌汁のねぎが、何よりうれしかった。自分でやったんだという実感があった。

そのころから、料理に入っている野菜を見るたびに「自分の畑のが入ったらもっとうまいだろうな」と思うようになった。家庭菜園が、食卓の楽しみと直結してきた感じだった。ねぎひと束の香りが、僕にそれを教えてくれた。

次は何が食べられるかが楽しみになった

ねぎが食べられるようになってからは、次に何が収穫できるかがたのしみになった。頭の中でいつも「次はどれだ」と考えるようになった。早くできないかな、とワクワクしてきたのを今でもよく覚えている。

玉ねぎはもうすぐできるかな。大葉は種を植えてすぐに芽が出てきたから、こちらの方が早いかな。三つ葉はまだうんともすんとも反応がないけど、ちゃんと育つかな。果樹は秋には実がなるかな。そんなことをいつも頭の中でぐるぐると考えていた。

朝に出て、仕事から帰ってきた夕方にも出て、少し変化を確認する。それだけのことが、毎日の楽しみになっていた。ワクワクしながら日々過ごしていたのを、今でもよく覚えている。

大葉は早かった。三つ葉はなかなか出てこなかった

大葉は、種を植えてから比較的早く芽が出てきた。小さな芽がポツポツと出てきたときはうれしかった。大葉は薬味として使いやすいし、料理にも重宝する。育てるのも難しくなかった。今でも毎年必ず植えている野菜のひとつだ。

一方で、三つ葉はなかなか反応がなかった。種を植えて、毎日水をやっているのに、なかなか芽が出てこない。「ちゃんと育つかな」と心配したのを覚えている。芽が出たときはほっとしたけど、三つ葉は意外と育てるのに時間がかかると感じた。

玉ねぎはゆっくりと育っていた。じわじわと球の部分が膨らんでいくのがわかって、それを見るのもたのしかった。ジャガイモも土の中でどれだけ育っているかわからないから、収穫するときのお楽しみという感じだった。実際に掘り出したときは、予想より大きくなっていたりして、驚くことも多かった。

柚子やオリーブ、ブルーベリーの苗木は、秋に実がなるかなと楽しみにしていた。果樹は時間がかかるから、気長に待つしかない。でも、毎年少しずつ大きくなっていくのを見るのも、また楽しいものだ。

ささいな喜びが、毎日を明るくしてくれる

家庭菜園を始めてわかったのは、ささいな喜びが積み重なっていくということだ。芽が出たとき。少し大きくなったとき。初めて収穫できたとき。どれも大きな出来事ではないけど、それが続くことで毎日が少し明るくなっていく。そのことに、ねぎの香りが気づかせてくれた。

ねぎ一本を収穫するだけで、こんなに喜べるものなのかと、自分でも驚いた。でも、それが家庭菜園のいいところだと今では思っている。大きな達成感でなくても、小さな喜びが毎日続くことで、生活が豊かになっていく気がする。

あのころと同じように、今でも毎日畑に出るのが楽しみだ。今日はどれが大きくなっているか、そろそろ収穫できそうか、ちょっとのぞいてみる。それだけのことが、3年経った今も続いている。

初めての春に食べた、あの味噌汁のねぎの香り。あれが、僕を家庭菜園にのめり込ませてくれたのだと思う。

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