
3年前の夏に引っ越しをした。新しい家には畑がついていた。
それを知っていたので、引っ越してくる前から楽しみにしていた。でも荷解きの合間に外に出て実際に見てみたとき、思い描いていたものとはまったく違っていた。
雑草がびっしりと生い茂って、どこが畑でどこが通路なのかもわからない状態だった。草の高さは僕の腰くらいまであるものもあって、地面がほとんど見えないくらいだった。前の住人がしばらく手をつけていなかったのだろう。引っ越したのがちょうど8月の暑い時期で、草の勢いも一番すごい季節だった。
「これをなんとかしないと、野菜なんて作れないな」と思いながら、翌日から草刈りを始めた。
道具は鎌と軍手と一輪車。朝の涼しいうちに始めようと早起きするのだが、少し動いただけですぐに汗が出てくる。草を一本ずつ根から引き抜いたり、鎌で刈り取ったり。根が深く張っているものは土ごとほじり出す作業になった。
刈った草は一輪車に積んで、畑の隅にまとめておいた。それを繰り返しながら少しずつ前に進んでいく。一日やって、また翌日やって、それでもなかなか終わらない。草刈りだけで何日もかかった。
それでも、少しずつ土が見えてくるのが楽しかった。「今日はここまでできた」と思いながら毎日続けて、ようやく畑全体の土が見えてきたとき、それだけで大きな達成感があった。
畝を作るまでが一番しんどかった
草刈りが終わったら、次は畝を作る番だった。
畝というのは、野菜を植えるために土を盛り上げて作る場所のことだ。水はけが良くなるし根が伸びやすくなるので、家庭菜園では基本中の基本とされている。作り方はあらかじめYouTubeやブログで調べておいたのだけど、実際にやってみると思ったよりずっと体力がいった。
鍬で土を掘り起こして、中央に土を盛り上げ、形を整えていく。草刈りで疲れた体にはなかなかきつい作業で、腰が痛くなってくるので途中で休みながら続けた。一つの畝を仕上げるのに、予想していたよりもずっと時間がかかった。
最初の畝が完成したとき、草刈りのときとはまた違う達成感があった。雑草だらけだった畑を刈り、土を掘り起こして、ようやくここまで来られたという気持ちだった。この畝を作るまでの過程が、家庭菜園の中で一番しんどかった時間だったと思う。
ホームセンターで初めての野菜選び
畝ができたら、苗と種を買いにホームセンターへ行った。
園芸コーナーをゆっくりうろうろしながら、何を植えようかあれこれ考えた。野菜の苗がずらりと並んでいて、どれも育ててみたくなる。初めてだからあまり欲張らず、まずは少ない種類から始めようと決めて、最終的に選んだのはミニトマト、九条ねぎ、玉ねぎの3種類だった。
選んだ理由はシンプルで、自分がよく食べるものを基準にした。ミニトマトは大好きで、おやつ代わりに食べたいと思っていた。九条ねぎは料理にいつも使うので、自分で育てたものを使えたらと思った。玉ねぎは保存が効くから、たくさん収穫してもすぐには使い切らなくていい。初めての野菜選びは、難しく考えずに食べたいものを素直に選んだ。
YouTubeで知った堆肥作り
土作りについても同じ頃に調べていた。そのときYouTubeで堆肥の作り方を知った。
ぬかと雑草と納豆を混ぜて発酵させると堆肥ができる、という動画だった。「本当にそんなことで?」と半信半疑だったけど、草刈りで出た雑草がたくさんある。ぬかと納豆を足して混ぜ合わせ、しばらく置いておいた。
数週間後に確認してみたら、本当に堆肥ができていた。においもそれほど気にならず、ふかふかとした土のようなものに変わっていた。「これを買わなくても自分で作れるんだ」と知ったときはうれしかった。市販の堆肥がなくても、身近にあるもので土を豊かにできると知って、家庭菜園の面白さを感じた瞬間だった。
ミニトマトも九条ねぎも玉ねぎも、苗を植えた後は毎日様子を見るのが習慣になった。水をやりながら「ちゃんと育ってるかな」と確認する時間が、だんだん楽しくなってきた。朝早く起きて畑を覗くのが、その頃の日課だった。
やってみてわかったこと
畑仕事は、実際にやってみるまでわからないことが多い。草刈りがこんなに大変だとは思っていなかったし、畝一つ作るのにこれほど時間がかかるとも思っていなかった。やってみて初めて「そういうことか」とわかることが次々と出てきた。
堆肥がうまくできたときも同じだった。YouTubeで見たやり方を試してみただけなのに、ちゃんと形になっていた。自分でやってみることの大切さを、最初の夏に何度も感じた。
振り返ると、最初の畝を作るまでが一番大変だった。草刈りも畝作りも、慣れない作業で体は疲れるし時間もかかる。それでも、あの夏に汗をかいて整えた畑があったから、今の家庭菜園がある。
雑草だらけだったあの畑が、今はどうなっているか。それはまた別の記事で書いていこうと思う。

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